会議のあとで「結局、何が決まったんだっけ?」「あれは誰がやることになった?」と聞き直したことはありませんか。議事録を任されたものの、何をどこまで書けばいいのか分からず、会話を必死に打ち込んでいる人もいるのではないでしょうか。

議事録は、会話をすべて書き残すものではありません。押さえるのは次の 3 つです。

  • 決まったこと(決定事項)
  • 誰が・何を・いつまでにやるか(宿題・ToDo)
  • 決まらなかったことと、次にどうすれば決まるか(保留事項)

この記事では、この 3 つを確実に残すための書き方を 5 つのステップで紹介します。そのまま使えるテンプレートと記入例、良い例・悪い例も載せています。はじめて議事録を任された人や、会議のあとの行き違いを減らしたい取りまとめ役に向けて書いています。

ステップやること
1会議の前に、議題を入れた枠を作っておく
2会議中は、結論・宿題・持ち越しだけを拾う
3最後の 3 分で、決まったことと宿題を読み合わせる
4その日のうちに送る
5宿題をタスクの一覧にも載せ、次の会議で確かめる

議事録は何のために書くのか

議事録の役目は、大きく 3 つあります。

  • 欠席した人に、決まったことを伝える
  • あとで「言った・言わない」にならないよう、合意を残す
  • 宿題を、会議が終わったあとも動かす

3 つ目が見落とされがちです。会議で「それは田中さんにお願いしましょう」と決まっても、議事録に担当と期限が書かれていなければ、翌週には誰も覚えていない、ということがよく起こります。議事録は、会議で決めたことを実際の仕事につなぐためのものだと考えると、何を書けばいいかがはっきりします。

議事録に書く項目

社内の打ち合わせなら、次の項目で足ります。

項目書くこと
会議名・日時・場所「〇〇の定例」「10 月 27 日(火)10:00〜10:30」「会議室 A/オンライン」
参加者出席者と欠席者。進行役と書記も書いておく
議題話し合うテーマ。会議の前に分かっていれば先に書く
決まったこと(決定事項)議題ごとの結論
宿題(ToDo)やること・担当者・期限
決まらなかったこと(保留事項)決まらなかった理由と、次に決めるために必要なこと
次回の予定日時と、持ち越す議題

議論の経緯は、あとで「なぜそう決めたのか」を確かめたくなりそうなときだけ、要点を 1〜2 行で残します。発言をすべて書く必要はありません。

議事録の書き方 5 ステップ

ステップ 1:会議の前に、議題を入れた枠を作っておく

会議が始まってから白紙に書き始めると、話についていくだけで精一杯になります。前日までに、会議名・日時・参加者・議題を書いた枠を作っておきます。下のテンプレートをそのまま使ってかまいません。

議題が事前に分からないときは、進行役に「今日は何を決める会議ですか」と聞いておきます。それだけで、会議中に何を拾えばいいかが分かります。

ステップ 2:会議中は、結論・宿題・持ち越しだけを拾う

会議中にすべてを書き取ろうとしないでください。拾うのは次の 3 つだけです。

  • 「では、〇〇にしましょう」という結論
  • 「それは〇〇さんにお願いします」という宿題
  • 「これは次回に」という持ち越し

宿題が出たら、その場で担当者と期限を確かめます。期限は「次回まで」「早めに」ではなく、日付で決めてもらいます。上司や目上の人に聞きにくければ、「議事録に書くので、担当の方と期限を伺ってもよいですか」と、記録のためだと前置きすると切り出しやすくなります。その場で聞けなかったときは「期限:未定(〇日に確認)」と書いておき、会議のあとで本人に聞きます。

書き取りは、速さを優先して略してかまいません。

  • 人の名前は名字だけ、日付は「10/30」のように書く
  • 聞き取れなかったところや、どう決まったのか分からないところには「?」を付けておく
  • 結論には「→」、宿題には「☆」など、自分で決めた印を付けておくと、あとで拾いやすい

「?」を付けたところは、ステップ 3 で確かめます。

ステップ 3:最後の 3 分で、決まったことと宿題を読み合わせる

会議の終わりに、テーブルを囲んで画面とノートを見ながら内容を確かめ合う人たちの後ろ姿

5 つのステップの中で、いちばん効果が大きいのがここです。会議の終わりに 3 分だけもらい、書記が「決まったことと宿題を読み上げます」と言って全員で確認します。この記事では、これを読み合わせと呼びます。確かめるのは次の 3 点です。

  • 決まったことの受け取り方が、人によってずれていないか
  • 宿題の担当者が、自分の宿題だと分かっているか
  • 期限に無理がないか

ここで「あれ、そういう意味じゃなかった」と気づければ、その場で直せます。会議のあとにメールでやり取りして直すより、ずっと少ない手間で済みます。オンライン会議なら、議事録を画面に映して読み上げると、全員が同じものを見て確認できます。

読み合わせの時間を毎回取るために、進行役に「最後の 3 分は確認に使わせてください」と前もって頼んでおくと確実です。

ステップ 4:その日のうちに送る

議事録は、記憶が新しいうちに送るほど役に立ちます。読み合わせを済ませていれば、清書は短時間で終わるはずです。

その日のうちに整えるのが難しければ、決まったことと宿題だけを先に送り、詳しい内容はあとから足してもかまいません。宿題の担当者は、早く知るほど早く動けます。メールで送るなら、次のような文面で足ります。

件名:【議事録】10/27 展示会準備の打ち合わせ

皆さま

本日の打ち合わせの議事録をお送りします。
取り急ぎ、決まったことと宿題のみ記載しております。詳しい内容は明日お送りします。

(ここに決まったことと宿題を貼る)

内容に齟齬があれば、お知らせください。

送り先は、出席者だけでなく、決まったことに関わる欠席者も入れます。チャットやメールで流すだけでなく、あとから探せる共有フォルダなどにも置いておきます。議事録がたまっていると、担当が替わったときの引き継ぎも楽になります。

ステップ 5:宿題をタスクの一覧にも載せ、次の会議で確かめる

議事録に書いた宿題は、議事録の中に置いたままだと、次の会議まで誰も見返しません。宿題は、ふだん仕事を管理している場所にも載せます。

  • タスクの一覧が無い職場なら
    Excel などの表計算ソフトに「やること・担当者・期限」の 3 列を作るだけで十分です。それも難しければ、テンプレートの「前回の宿題の確認」欄を次の会議の冒頭で読み上げるだけでも効果があります
  • タスクの一覧を使っている職場なら
    宿題をその一覧にも載せます。担当者と期限をそのまま写せば済みます

次の会議では、冒頭で前回の宿題を確かめます。終わったものは閉じ、止まっているものは理由を聞きます。こうすると、会議と会議のあいだも仕事が進みます。タスクの一覧の作り方は「チームのタスク管理の始め方」で紹介しています。

たとえば無料のタスク管理アプリ Meooow なら、議事録はチームの Wiki に、宿題は担当者と期限を付けた「チケット」にしておけば、次の会議の冒頭でチケットの一覧を開くだけで前回の宿題を確かめられます。Wiki を音声から文字起こしする機能もあるので、記録はそちらに任せて議題に集中することができます。

決まらなかったことの書き方

議事録で抜けやすいのが、決まらなかったこと(保留事項)です。「〇〇について検討した」とだけ書くと、次の会議でまた同じ話を一からすることになります。

保留になった議題は、次の 3 つを書いておきます。

書くこと例
なぜ決まらなかったか費用の見積もりがまだ出ていない
決めるために何が必要か2 社分の見積もり
誰がいつまでに用意するか佐藤さん・11 月 5 日(木)まで

最後の行は、そのまま宿題になります。「次回までに見積もりが 2 社分そろえば決められる」と分かっていれば、次の会議は結論から始められます。

読みやすく書くコツ

清書するときは、次の点に気をつけると、読む人が迷いません。

  • 結論から書く。議題ごとに、まず決まったことを 1 行で書き、経緯はそのあとに添える
  • 1 つの文に 1 つのことだけ書く
  • 文末をそろえる。「〜する。」「〜とする。」のような短い言い切りか、「〜すること。」のような形にそろえる
  • 「検討」「対応」で終わらせない。何をすれば終わりなのかが分かる言葉で書く
  • 事実と意見を分ける。意見を書くときは、誰の意見かを添える

良い例と悪い例

自分が欠席した人になったつもりで読み、動けるかどうかを基準にします。

悪い例良い例直したところ
展示会の件、検討した11 月の展示会には出展する。ブースは小(3m×3m)で申し込む結論を書く
チラシは各自対応チラシの原稿を作る:山田さん・10 月 30 日(金)まで担当者を 1 人にして期限を付ける
予算は今後検討予算は保留。見積もり 2 社分がそろえば決める(佐藤さん・11 月 5 日(木)まで)決まらなかった理由と、次に必要なことを書く
部長から意見あり部長:「去年より来場者が減っているので、配布物は減らしてよい」誰の、どんな意見かを書く

結論・宿題・保留が議題ごとに 1 行で読めれば、議事録としては十分です。

そのまま使える議事録のテンプレート

社内の打ち合わせや定例会議に使えるひな形です。共有メモや文書ソフトに貼り付けて使ってください。

■ 会議名:
■ 日時: 年 月 日( ) : 〜 :
■ 場所:
■ 出席者:(進行:   書記:   )
■ 欠席者:

【議題 1】
・決定事項:
・宿題(ToDo):(やること/担当/期限)
・保留事項:(理由/決めるのに必要なこと/担当・期限)

【議題 2】
・決定事項:
・宿題(ToDo):
・保留事項:

【前回の宿題の確認】
・(やること):完了/作業中/止まっている(理由:  )

【次回】
・日時:
・持ち越す議題:

会議の目的によっては項目を減らしてかまいません。毎週の短い定例なら、「決定事項」「宿題」「前回の宿題の確認」の 3 つだけでも回ります。

記入例:展示会準備の打ち合わせ

上のテンプレートを埋めると、次のようになります。これくらいの分量で十分です。

■ 会議名:展示会準備の打ち合わせ
■ 日時:2026 年 10 月 27 日(火)10:00〜10:30
■ 場所:会議室 A/オンライン
■ 出席者:鈴木部長、佐藤、山田、田中(進行:佐藤 書記:田中)
■ 欠席者:高橋

【議題 1:出展するかどうか】
・決定事項:11 月の展示会に出展する。ブースは小(3m×3m)で申し込む
・宿題(ToDo):出展を申し込む/佐藤/10 月 29 日(木)まで

【議題 2:配布物】
・決定事項:チラシのみ作る。部数は昨年の半分(鈴木部長:「来場者が減っているので、配布物は減らしてよい」)
・宿題(ToDo):チラシの原稿を作る/山田/10 月 30 日(金)まで

【議題 3:予算】
・保留事項:見積もりが出ていないため保留。2 社分の見積もりがそろえば決められる(見積もりを取る/佐藤/11 月 5 日(木)まで)

【前回の宿題の確認】
・会場の下見:完了

【次回】
・日時:11 月 6 日(金)10:00〜
・持ち越す議題:予算

会議の種類によって書き分ける

会議書き方のポイント
社内の定例・打ち合わせ結論と宿題が中心。経緯はほとんど書かなくてよい
お客さま・取引先との打ち合わせ合意した内容(金額・納期・仕様)を正確に。送る前に上司や担当者に確認してもらう
取締役会・株主総会などの正式な会議会社法で書く内容や保存のしかたが決められている(取締役会なら出席した取締役・監査役の署名か記名押印、どちらも本店での 10 年間の保存など)。自分で一から作らず、専用のひな形を使い、総務や司法書士などに相談する

社外との打ち合わせでは、議事録を相手にも送り、「〇日までにご指摘がなければ、この内容で確定とさせていただきます」と期限を添えておくと、合意の記録として残せます。

録音や文字起こしを使うときの注意

オンライン会議の録音や、文字起こし・要約の機能を使えば、聞き逃しを減らせます。使うときは次の点に気をつけてください。

  • 録音・録画は、始める前に全員に伝えて了解を得る。社外の人がいる会議では、事前の案内にも書いておく。録音を断っている会社もあるので、相手の決まりにも配慮する
  • 会社で使ってよいツールかを確かめる。文字起こしや要約の多くは、外部のサービスで処理される。社外秘の話や取引先との会議では、社内の決まりや相手との取り決めを先に確認し、録音データの置き場所と消す時期も決めておく
  • 文字起こしは材料であって、議事録ではない。会話の全文から、決まったことと宿題を拾い出す作業は残る
  • 自動の要約は、そのまま送らない。担当者や期限の取り違えがないか、読み合わせの内容と照らし合わせる

機械に任せられるのは書き取りや下書きまでです。「何が決まったか」を確かめる読み合わせは、人がやる必要があります。

よくある質問

議事録は誰が書けばいいですか?

新しく入った人が任されることもありますが、決まった担当がいなければ持ち回りでもかまいません。できれば進行役とは別の人にします。話を進めながら書くと、どちらもおろそかになりがちだからです。少人数で兼ねるしかないときは、結論と宿題だけを書き、最後の読み合わせを必ず行います。

どこまで詳しく書けばいいですか?

欠席した人が読んで、自分に関係することと次にやることが分かれば十分です。迷ったら、結論と宿題を優先し、経緯は削ります。

議事録とメモは何が違いますか?

メモは自分のための書き取りで、議事録は参加者全員が「これで合っている」と確かめた記録です。会議中に取るのはメモで、読み合わせを経て送ったものが議事録になる、と考えると分かりやすいでしょう。

発言者の名前は書くべきですか?

決まったことと宿題には、必ず担当者の名前を書きます。議論の中の発言は、誰の意見かが判断に関わるとき(上司の指示、お客さまの要望など)だけ書けば足ります。

送ったあとで誤りに気づいたら?

訂正した版を送り直し、どこを直したかを一言添えます。黙って差し替えると、古い版を見ている人と食い違います。

まとめ

  • 議事録に残すのは「決定事項」「宿題(やること・担当・期限)」「保留事項と、次に決めるために必要なこと」
  • 会議の前に枠を作り、会議中は結論・宿題・持ち越しだけを拾う
  • 最後の 3 分の読み合わせで、受け取り方のずれをその場で直す
  • その日のうちに送り、宿題はタスクの一覧にも載せて次の会議で確かめる

次の会議でできることを並べておきます。

  • 前日までに、テンプレートに会議名・参加者・議題を入れておく
  • 進行役に「最後の 3 分を確認に使わせてください」と頼んでおく
  • 宿題が出たら、その場で担当者と期限の日付を聞く
  • 会議が終わったら、決まったことと宿題だけでも当日中に送る