「あの件、どうなった?」と毎日誰かに聞いていませんか。頼んだはずの仕事がチャットに埋もれ、期限の前日になって誰も手をつけていなかったと分かる。人が増えるほど、こうした行き違いも増えていきます。
チームのタスク管理は、立派なツールや細かいルールから始める必要はありません。最初に決めるのは次の 3 つだけです。
- 仕事の置き場所を 1 つにする
- 1 件ごとに、担当者 1 人と期限の日付を決める
- 週に 1 回、15 分だけ全員で見直す
この記事では、この 3 つを形にする次の 5 つのステップと、伝わるタスクの書き方、最初の 2 週間の進め方、続かなくなったときの直し方を紹介します。部署やお店の取りまとめ役、いつの間にか段取り役になっていた人に向けて書いています。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | 最初は範囲を 1 つの案件に絞る |
| 2 | 今抱えている仕事を洗い出し、大きいものは分ける |
| 3 | 1 件ずつ、担当者 1 人と期限の日付を決める |
| 4 | 置き場所を 1 つ決め、状態を 3 つにそろえる |
| 5 | 週に 1 回、15 分だけ見直す |

チームのタスク管理とは:「誰が・何を・いつまでに」を全員が見られる状態
チームのタスク管理とは、誰が・何を・いつまでにやるのかを、本人以外も同じ場所で確かめられる状態をつくることです。そうなれば「あの件どうなった?」と聞いて回らなくても一覧を開けば分かり、担当者が休んだ日も周りが続きを追えます。
チームのタスク管理がうまくいかない 3 つの原因
- 置き場所がばらばら
チャット、メール、会議のメモ、個人の手帳に仕事が散らばっていて、全部を見ている人がいない。 - 担当が「みんな」になっている
「手が空いた人がやる」と決めた仕事は、後回しになりがちです。全員が「誰かがやるだろう」と思うからです。 - 書いて終わりになる
最初に一覧を作っても、更新されなくなって古い情報が残る。そのうち誰も見なくなり、口頭での確認に戻ります。
冒頭の 3 つは、この原因をそれぞれふさぐためのものです。
始め方の 5 ステップ
ステップ 1:最初は範囲を 1 つに絞る
いきなりチームの仕事を全部載せようとすると、書き出すだけで疲れて止まります。最初は1 つの案件か、1 つの定例業務に絞ってください。「来月のイベント準備」「〇〇様邸の着工準備」「毎月の請求まわり」のように、期限があって関わる人が複数いるものが向いています。うまく回ったら、ほかの仕事にも広げます。
ステップ 2:今抱えている仕事を洗い出す
関わる人で 30 分ほど集まり、決めた範囲の仕事を付箋や共有メモに書き出します。きれいに分類しなくてかまいません。まずは漏れなく出すことを優先します。
書き出したら、大きすぎるものを分けます。1 件が 2 日を超えそうなら分けるのが目安です。「イベントの準備」のままでは進み具合が分からないので、「会場を予約する」「案内文を書く」「備品を発注する」のように分けます。
小さな仕事は、次のように線を引きます。
- ほかの人が待っている仕事・頼まれた仕事は、5 分で終わるものでも載せる
- 自分だけで完結する、15 分ほどで終わる作業は載せず、個人のメモで済ませる
ステップ 3:1 件ずつ、担当者 1 人と期限の日付を決める
書き出した仕事の 1 件ずつに、担当者を 1 人決めます。2 人で進める仕事でも、取りまとめる人を 1 人にします。
期限は「来週中」「なるはや」ではなく、「10 月 23 日(金)」のような日付で書きます。日付になっていれば、遅れているかどうかを誰でも判断できます。
期限は頼む側が一方的に決めず、担当者が「この日ならできる」と言える日付を話し合って決めます。無理な日付は守られないからです。
ステップ 4:置き場所を 1 つ決め、状態を 3 つにそろえる
書き出した仕事を、全員が見られる 1 か所に移します。事務所のホワイトボードでも、共有のスプレッドシートでも、タスク管理アプリでもかまいません。現場に出ていてパソコンを開かない人が多いなら、スマートフォンで見られるものを選びます。
大事なのは「ここにない仕事はないことにする」とチームで約束することです。
進み具合は、最初は 3 つの状態だけで十分です。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 未着手 | まだ手をつけていない |
| 作業中 | 手を動かしている、または相手の返事や確認を待っている |
| 完了 | 相手に渡すところまで終わった(送付・提出・確認をもらうまで含む) |
上司の確認や相手の返事を待っている仕事は「作業中」のままにし、メモに「〇〇さんの返事待ち」と書いておきます。こうしておくと、止まっている理由が周りにも分かります。
状態を増やすほど更新が面倒になるので、ほかの状態は必要になってから足します。この 3 列をボードに並べ、付箋を左から右へ動かすやり方はカンバンと呼ばれ、ホワイトボードで始めるならいちばん手軽です。
「優先度」の列も、最初は作らなくてかまいません。高・中・低を付けると、たいてい全部が「高」になるからです。まずは期限の日付で並べます。
ステップ 5:週に 1 回、15 分だけ見直す
曜日と時間を決めて、全員で一覧を見ます。全員が集まれないなら、朝礼の 5 分を使う、取りまとめ役が一覧を見てチャットで聞く、という形でもかまいません。
全件を読み上げる必要はありません。見るのは次の 3 つだけです。
- 期限を過ぎたもの・過ぎそうなもの
期限を延ばすか、手伝う人をつけるか決める - 作業中のまま止まっているもの
何に困っているのかを聞く - 1 人に集中しているもの
ほかの人に渡せないか話す
進み具合の報告だけなら、各自が一覧を更新すれば済みます。集まる時間は「決めること」に使います。
伝わるタスクの書き方:良い例と悪い例
書いた本人以外が読んで動けるかどうかを基準にします。
| 悪い例 | 良い例 | 直したところ |
|---|---|---|
| 会場 | 会場を予約する(30 人・11 月 14 日) | 動詞で終える。条件を入れる |
| 資料の件 | 来期の見積書を作り、部長の確認をもらう | 何をすれば完了かが分かる |
| 近所 | 近隣へのあいさつ文を配る | 中身を具体的にする |
| ○○さんに聞く | 搬入の時間を△△会館の○○さんに確認する | 何を聞くのかを書く |
「確認をもらう」「送付する」のように、完了の状態まで動詞で書くのがコツです。経緯や参考資料は、タイトルではなくメモ欄に書きます。
一覧の先頭に貼っておく約束ごと
ルールは細かいほど守られなくなります。最初は次の 3 つだけを、一覧の先頭やチャットの目立つところに書いておきます。
- 頼まれごとは、頼まれた人がその場で登録する
受けた人が書くと、「受けた・受けていない」の行き違いが減ります。 - 手をつけたら「作業中」、終わったら「完了」にする
見直しの前日までに、担当者本人が最新にしておきます。 - 完了にするのは「相手に渡せた」とき
下書きができただけでは完了にしません。
取りまとめ役が切り出すときのコツ
取りまとめ役が上司でも年長者でもないなら、「今日から一覧で管理します」という宣言は反発を招きがちです。次のように始めると角が立ちにくくなります。
- 上の人に先に話を通す
「行き違いを減らしたいので、この案件だけ一覧で試させてください」と範囲と目的を伝える - 目的は「催促を減らすため」と言う
人を評価したり責めたりするためではないと、最初にはっきりさせる - 最初は自分と 1〜2 人で試す
うまく回っている様子を見せてから広げる - 声かけは「困っていることはある?」
「まだ終わらないの?」ではなく、手伝えることを探す聞き方にする
最初の 2 週間の進め方の例
定着するかどうかは、最初の 2 週間の進め方に大きく左右されます。一例を挙げます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1 週目の月曜 | 範囲を決め、30 分で仕事を書き出す。担当と期限を決めて一覧に載せる |
| 1 週目の火〜木曜 | 取りまとめ役が毎日一覧を開く。止まっていそうな 1 件だけ「困っていることはある?」と聞く |
| 1 週目の金曜 | 1 回目の見直し(15 分)。書き方がばらついていれば、良い例を 1 つ共有する |
| 2 週目 | 頼まれごとを一覧に載せる習慣をつける。取りまとめ役も口頭ではなく一覧で頼む |
| 2 週目の金曜 | 2 回目の見直し。続けるか、状態や約束ごとを変えるかを全員で決める |
なかでも大事なのは、取りまとめ役自身が一覧を使うことです。頼む側がチャットや口頭で仕事を頼み続けると、「一覧は見なくてもいい」という空気になります。
よくあるつまずきと直し方
| つまずき | よくある原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 一覧が更新されない | 更新する場面が決まっていない | 見直しの前日に各自で更新すると決める |
| 入力が面倒だと言われる | 入れる項目が多すぎる | 必須はタスク名・担当者・期限の 3 つに減らす |
| 期限切れが並ぶ | 期限を一方的に決めている/見直す場がない | 期限は担当者と話して決め、週 1 回の見直しで延ばすか手伝うかを決める |
| 「監視されているようだ」と言われる | 目的が伝わっていない | 催促を減らすための仕組みで、評価には使わないと改めて伝える |
うまくいかないときは、ツールを替える前に約束ごとと見直しの時間を見直してください。原因の多くは道具ではなく、使う場面が決まっていないことにあります。
道具はどう選ぶ?スプレッドシートと専用アプリの使い分け
少人数で仕事の数も多くなければ、共有のスプレッドシートで十分に始められます。列は次の 5 つで足ります。
| タスク名 | 担当者 | 期限 | 状態 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 会場を予約する(30 人・11 月 14 日) | 田中 | 10/23 | 作業中 | 〇〇会館の返事待ち |
ただ、続けていると次のような手間が目立ってきます。こうした手間が増えてきたら、専用のタスク管理アプリを検討する時期です。
- 期限が近い仕事を、毎回だれかが見つけて声をかけている
- 大きな仕事の進み具合を、小さな仕事の状態から手で数えている
- 関係する資料ややり取りが別の場所にあり、探すのに時間がかかる
選ぶときは、機能の多さより次の点を確かめてください。
- チームでいちばん操作に慣れていない人が、迷わず使えるか
- スマートフォンで見やすいか(現場に出る人がいるなら特に)
- 人数が増えたときの費用と、データを書き出せるか
たとえば無料のタスク管理アプリ Meooow では、この記事でいう「タスク 1 件」を「チケット」と呼び、担当者・期限・状態を付けて全員で同じ一覧を見られます。
よくある質問
何人くらいからタスク管理が必要ですか?
2 人からでも役に立ちます。人数よりも、同時に進む仕事が増えて「誰がやるのか」があいまいになってきたかどうかで判断してください。
優先順位はどう決めればいいですか?
最初は期限の日付で並べるだけで十分です。期限が同じものどうしで迷ったら、遅れたときに困る人が多いほうを先にします。
1 人が抱えきれず、全部が今週の期限になっているときは、並べ替えでは解決しません。見直しの場で、期限をずらすもの・ほかの人に渡すもの・やめるものを決めます。決めるのは担当者ではなく、取りまとめ役か仕事を頼んだ人です。
まとめ
- チームのタスク管理は「置き場所を 1 つ」「担当 1 人と期限の日付」「週 1 回 15 分の見直し」から始める
- 最初は範囲を 1 つの案件に絞り、2 日を超えそうな仕事は分ける
- 約束ごとは 3 つだけ。取りまとめ役自身が一覧を使うことが、定着のいちばんの近道
明日からできることを並べておきます。
- 一覧で管理する案件を 1 つ選ぶ
- 一緒に試す人を 1〜2 人決めて、声をかける
- 置き場所を決める(ホワイトボード、5 列のスプレッドシート、アプリのどれか)
- 30 分の書き出しの日時を押さえる