「あの人だけいつも遅くまで残っている」「手が空いている人がいるのに、仕事が回ってこない」——チームの工数の偏りは、放っておくと燃え尽きや納期遅れにつながります。この記事では、偏りを感覚ではなく数字で捉えるための考え方として「キャパシティ」と「負荷率」を解説し、ならしていく進め方を紹介します。

なぜ工数は偏るのか

偏りは、たいてい誰かの怠慢ではなく、仕組みから生まれます。

  • 頼みやすい人に集まる — 詳しい人、断らない人に仕事が寄っていく。
  • 見えていない — 各自が抱えている量がほかの人から見えないので、偏っていても気づけない。
  • 件数で比べてしまう — 「3 件と 3 件で同じ」と思っても、1 件の重さはまったく違う。
  • 働ける時間が人によって違う — 兼務や短時間勤務の人と、フルタイムの人を同じ物差しで比べてしまう。

最後の 2 つは、物差しを変えるだけで解決できます。それが、時間で比べることと、その人が使える時間に対する割合で比べることです。

キャパシティ — その人が使える時間

キャパシティは、ある期間にその人が作業に使える時間です。

キャパシティ = 週あたり稼働可能時間 × 稼働率 × 期間の日数 ÷ 7

  • 週あたり稼働可能時間 — フルタイムなら 40 時間、週 3 日の兼務なら 24 時間、のように決めます。
  • 稼働率 — そのうち、チケットの作業に使える割合です。会議や問い合わせ対応に 2 割取られるなら 0.8 にします。

たとえば、週 40 時間・稼働率 0.8 の人の 2 週間のキャパシティは 40 × 0.8 × 14 ÷ 7 = 64 時間 です。

負荷率 — キャパシティに対してどれだけ抱えているか

負荷率 = 期間内の見積時間 ÷ キャパシティ

先ほどの人が、2 週間で見積 80 時間ぶんのチケットを抱えていれば、負荷率は 80 ÷ 64 = 125% です。同じ 80 時間でも、キャパシティが 100 時間の人なら 80% にとどまります。件数や時間の絶対量ではなく、その人にとってどれだけ重いかで比べられるのが負荷率の利点です。

目安としては、次のように読むと実務に合います。

負荷率状態
〜80%余裕がある。差し込みの作業や見積のずれを吸収できる
80〜100%いっぱい。新しい作業を渡す前に相談する
100% 超あふれている。期日の調整か、担当の付け替えが必要

100% ちょうどを目指さないのがコツです。見積は外れるもので、急ぎの差し込みも必ず来ます。2 割ほどの余白を残しておくと、計画が崩れにくくなります。

見積で測る理由

負荷率は、実績ではなく見積で計算します。実績はやり終えたあとにしか分からないので、「これから偏る」ことを事前に知るには、これから抱える作業の見積を使うしかないからです。そのぶん、見積の精度が負荷率の精度を決めます。完了したチケットで「実績 − 見積」のずれ(工数乖離率)を振り返り、見積の癖を少しずつ直していきましょう。

偏りをならす 4 つのステップ

  1. キャパシティを決める — 兼務や短時間勤務、会議の多さを反映して、人ごとに設定します。全員を 40 時間にしたままだと、負荷率は件数で比べるのと大差なくなります。
  2. 見積を入れる — チケットに見積時間を入れます。見積のないチケットは負荷率に現れません。
  3. 週に 1 度、負荷率を並べる — 100% を超えている人と、余裕のある人を見つけます。
  4. 期日か担当を動かす — あふれている人のチケットを、期日を延ばすか、余裕のある人へ付け替えて解消します。付け替えたら、もう一度負荷率を見て確かめます。

Meooow でやってみる

Meooow では、ここで紹介した計算がそのまま画面になっています。

  • キャパシティの設定 — ワークスペース設定の「キャパシティ」タブで、メンバーごとに「週あたり稼働可能時間」と「稼働率(0〜1)」を入れます(未設定の人は週 40 時間・稼働率 1.0)。
  • 負荷率を見る — 「ワークロード」で期間を指定すると、メンバーごとの「見積時間」「キャパシティ」「負荷率」が並びます。「今週」の表示では、負荷率が 80% を超えると注意、100% を超えると警告の色が付きます。
  • 担当を付け替える — チケットの「担当者別」の表示で、人ごとのチケットと見積の合計を見ながら付け替えられます。
  • 見積のずれを振り返る — プロジェクトの「サマリ」で、完了したチケットの工数乖離率を確認できます。
  • AI に相談する — 自分の Claude の API キーを登録し、ワークスペースで「AI分析」を有効にすると、ワークロードの「メンバー負荷の分析」で、偏りとその解消案を AI が文章でまとめます。

各画面の詳しい見方は ワークロードと分析レポート で紹介しています。

まとめ

  • 工数の偏りは、件数ではなく時間で、さらにその人が使える時間に対する割合で比べると見えるようになる。
  • キャパシティ = 週あたり稼働可能時間 × 稼働率 × 日数 ÷ 7、負荷率 = 見積 ÷ キャパシティ。
  • 100% ではなく 80% 前後を目安に余白を残し、週 1 回の確認で早めにならす。

数字は誰かを責めるためではなく、チーム全体を無理なく回すためのものです。まずはキャパシティを決めて、見積を入れるところから始めてみてください。

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